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宮成なみの生い立ち 高校1年で発病〜高校留年

〜 桜の木の下で 〜

音楽が流れます。

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空一面に咲き誇る桜の花が好きでした。

晩秋の木枯らしに桜は丸裸にされるけれど、寒い冬を乗り越えて美しい花を開かせる桜の花が大好きでした。

結節性動脈周囲炎

これが私の病名です。

16歳の誕生日を迎えてすぐあと、

私は健康を失いました。

「現代の医学ではあなたの病気を治すことはできません。社会復帰は無理かと思われます。」

お医者さんは、そう私にいいました。

私の血管は生まれつき、細すぎて毛細血管が潰れていく病気なのだそうです。

お医者さんは続けていいました。

「現代の医学では治すことはできませんが、唯一、進行を遅らせる方法があります。それが食事療法です」

このまま、白い病棟で一生を終えるのか、

本当に小さな希望でしかないけれど、食と言う可能性にかけてみるのか。

16歳で人生の選択に迫られました。

選択の余地なんてありませんでした。

1年弱の入院生活を終え、退院した私は高校を留年していました。

164cmの身長に、体重は40kgを切っていて、普通に座っていることができなくて、あたりまえに生活をすることができなくなっていました。

腎性貧血も進んでいて、立ちくらみやめまいがするたび体をぶつけ、足にはいくつもの青あざができていました。

1時間座っていることができない私は、学校に行っても授業中倒れることもしょっちゅうで、年下の子達と通う高校生活も、クラスメートに迷惑をかけてしまうことも心苦しくて居場所のなさを感じていました。

それでも母は私に高校に行けといいました。

私の通う高校は、家から歩いて10分くらいのところにあり、桜並木の続く坂道をくだったところにありました。

学校に行こうとかばんを持って家をでるのだけれど、学校にいくのが辛くって、よく桜並木の坂道を登った先にある公園でサボっていました。

なんでこんなことになっちゃったんだろう。

どうして私だけ病気にならなきゃいけないの?

思い通りに動かない体。

見えない未来に不安になって怯える日々。

今まで、平凡な女子高生だった自分がいやだった。

なんの変哲もないとりえもない、そんな自分がいやだった。

だけど、普通の女子高生だった私は、

元気に走り回ることのできていた私は、どんなにすばらしかったことだろう。

どんなに後悔してもしきれなくて、

あのころの自分に戻りたくても戻れなくて、

その頃の私の夢は、「普通の女子高生になること」ただそれだけでした。

普通の恋がしたい。

普通に学校にいきたい。

普通に生活できるようになりたい。

それさえも手の届かない遠い夢のようでした。

お医者さんは社会復帰できないと言っているのに、

学校に行けと鬼のような形相をして家から追い出す母のことを思うと、

母のことさえ信じられなくなることもありました。

だけど、家に帰るといつも、私のごはんがあって、優しい笑顔があって、

いつでも母は私の味方でした。

優しい笑顔は、小さいころからいつも同じものでした。

そんなとき、ふと思い出しました。

小さい頃のこと。

どうみても皮のほうが分厚いジャガイモを見て、「上手、上手」と誉めてくれた母。

料理も最初は上手にはできなくて、手を切ったり火傷をしたりすることもしょっちゅうでした。

けれど、母は何度も何度も「最初から上手になんてできなくて当たり前。続けていくことが大切なのよ」、と積み重ねていくことの重要性を教えてくれました。

失敗しながら繰り返しているうちに、少しずつ上手になって、最後はおいしい料理ができるようになりました。

今は、生きることさえ上手にできないけれど、積み重ねていけば、いつか上手になれるかも。

おいしい料理が作れるようになったみたいに、人生だって自分で調理できるかも。

本当に私は、社会復帰できるかもしれない。

そんなふうに思えました。

夏が来れば桜は、照りつける陽射しを浴びて、力強く雄々しく若葉を空一面に広げます。

晩秋の木枯らしに桜は丸裸にされるけれど、寒い冬を乗り越えて春には必ず美しい花を咲き誇らせる桜がとても大好きでした。

私も桜のように咲き誇れるひとになりたい。

桜の木の下でひとしきり泣いたら気合を入れて、かばんを持って学校に行きました。

きっと社会復帰できるはずって希望を持って。



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